2017年08月

つい彼はよろめ

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カラにしてみれぽ、コンピューターの内部など、何百回も見たことがあるにちかいないが、それでも彼は、ジェイコプと同じくらい魅入られたようすで、明るく輝くまぶたのない目をひたと機械にずえ、瞑想にふけっているようだった。
 やっとのことで、カラはパネルにふたをした。ジェイコブはこのETが疲れているらしいことに気がついた。きっと働きすぎなのだろう美容保養品。ふたりはほとんど話をしないまま、ゆっくりとドームをまわりこんで、ジェフリーとケプラーのもとへもどった。
 チンパソジーとケプラーは議論をしており、ジェイコプはなにを言いあっているんだろうと聞き耳をたてたが、カメラの一台についてのこまかい目盛りあわせについてのことで、ほとんど意味がわからなかった。
 やがてジェフリーは、洞穴の床でやらなければならないことがあるからと言って出ていき、カラもすぐにそのあとを追って出ていった。ふたりの人間は、機械のことなどを話しながら、もう二、三分そこにとどまっていたが、それからケプラーが、ジェイコプの先に立ち、きたときのループをもどるようにとうながした。
 ジェイコブがなかほどまでループを登ったところで、ふいに前方から騒ぎが聞こえてきた。だれかが怒って叫んでいるようだ。ジェイコプは湾曲した重力ループに関して目が伝える情報を無視しようと努めながら、足を速めた。だが、この通路は、大急ぎで通り抜けるようにはできていなかった。複雑な形状をした重力場の強さが場所によって段階的に変化し、まちまちの力で体を引っばるのだ。ジェイコプははじめて混乱を覚えた。
 ループの頂点では、固定の甘いフロアー・プレートを踏んづけてしまい、湾曲した床ぞいに、プレートと何本かのボルトをはじきとばしてしまった。なんとかバラソスを保とうとしたが、湾曲した通路の頂点で、パースペクティブがとくに異様だったため、いた。やっとのことで表デッキに出るハッチにたどりつくころには、もうケプラーが追いついてきていた。
 叫び声は、船外から聞こえていた。
 傾斜路の下で、ファギンが動揺して枝葉をゆらめかせている。基地の要員たちが何人も駆け寄ってくる。騒ぎの中心は、レスラー同士のようにがっぷりと組みあったまま動かない、ラロックとジェフだ。
 顔をまっ赤にし、荒い息をしながら、ラロックは首を絞めつけるジェフの手をふりほどこうと必死になっていた。拳で殴りつけてはいるが、なんのダメージも与えていないようだ。チンプは何度も何度も叫びながら、歯をむきだし、ラロックの頭を自分の頭の高さまで引きずりおろそうと、やみくもに引っぱっていた。どちらもまわりに人だかりがしているのには気づいていない。ふたりを分けようと何本もの手がさしだされても、見向きもしない。
 の知的生物の証拠だ」
 ジェフがすっと背筋を伸ばした。必死に冷静そうなそぶりを装いながら、ケプラーとカラにうなずいて見せた。ふたりは彼を離し、ジェイコプはあとずさった。
 知性化計画でイルカとチンプをみごと3333+飲食計劃

しようとしている


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乗客たちが下船の準備をはじめるごろ、ジェイコブは降下の途中、軽いトランス状態に入ってしまったことを思いだして、愕然とした。あのとき、おれはケプラーの上着につかまった。均衡飲食
くようにして身を起こした。新しい姿勢をとると、マーティンの目をまっすぐ見すえて、
「わたしは、彼らのことなど、気にしてはいない。ファ・ギンは、消極的、なロマンティストにすぎない。デムワは、愚か者、のように見える。ファ・ギンの友人は、みんなそうだ。
 そうではなく、もっと気になるのは、いまや基地の、トラブル・メーカーとなった、ふたりの存在だ。ここにくるまで、知らなかった、ことだが、基地のスタッフには、ひとり、チンプがいるな。彼とあの、ジャーナリストは、われわれがここに、到着して以来、たえずやっかいごとを、巻き起こしている。ジャーナリストのほうは、基地の要員たちに、無視、されて、騒ぎたてているし、チンプのほうは、しじゅう、カラにまとわりついて……あれを、〝解放〟、、ありさまだ。こんなことでは……」
「カラが命令をきかなくなったんですか? たしか、彼の奉仕期間は……」
 ババカブはばっと椅子からとびあがると、シュッと息を健營營養餐單 吐きだし、鋭い歯をむきだした。「話の、途中で、口をはさむな、この、人間、めが!」マーティンの隠えているかぎり、ババカブの地声を聞いたのは、これがはじめてだった。キーキーというかんだかい怒声は、ヴォーダーからのことばを圧して、耳に痛いほど響いた。
 しばらく、マーティンは身も心もしびれたようになって、身動きもできなかった。
 ババカブのこわばった姿勢が、徐々にリラックスしはじめた。ほどなく、逆立った毛皮は、ほとんどもとのようになめらかにもどった。
「謝罪、しよう、人間=マーティン。原始的種族が、こ健營體重管理のような、ささいな過失を犯した、からといって、激昂するぺき、ではなかった」
 マーティンは音をたてないよ

りしていたのだった

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に投げだされている奇妙な書物、器具、金塊、ガラス栓のついた壜を調べた。一度、やせこけた白黒ぶちの猫が足のあいだを駆けぬけて、マロウンをよろめかせるとともに、赤い液体が半分はいったビーカーを倒した。マロウンのショックはは なはだしく、現在にいたるまで自分が目にしたものに確信がもてずにいるが、夢のなかではあいかわらず、ある種のばけものじみた変化と奇態を見せて走り去るその猫があらわれる。そのあと閉ざされた地下室のドアをまえにして、ドアをうちやぶるものを探した。近くに重そうな腰掛けがあり、その頑丈な座部は古い鏡板には十分すぎるほどのものだった。割れ目ができ、それが大きくなって、ドア全体が壊れた――しかし反対側から壊れたのだ。そこからは、底無しの窖《あなぐら》のありとあらゆる悪臭をはらむ、氷のように冷たい風が騒然と唸《うな》りながら押し寄せ、断じてこの世のものではない吸引力が作用して、それが知覚力をもって麻痺状態にある刑事にからみつき、開口部を抜けて、囁《ささや》きと嘆き、嘲笑《ちょうしょう》のどよめきに満ちる、測り知れない空間へとひきずりこんでいった。
 もちろんこれは夢だった。専門医のすべてがそういい、マロウンには反証するにたるものは何もなかった。事実健康飲食、そのようにうけとれるものならうけとりたかった。ただの夢であれば、古い煉瓦《れんが》造りの貧民窟や色浅黒い外国人の顔といった光景が、これほど深く心を虫食《むしば》みはしないだろうからだ。しかし目にしたときはすべてが恐ろしいほど真に迫っていて、暗澹《あんたん》たる闇につつまれた地下納骨堂、巨大な拱廊《きょうろう》、沈黙のうちに巍々《ぎぎ》として闊歩《かっぽ》する半無定形の地獄の存在といった記憶は、何物をもってしても拭い去れるものではなく、半無定形の存在にいたっては、半分喰ったものをつかんでいたのだが、まだ生きている部分が慈悲を求めて泣き叫んでいたり、狂気の笑いをあげた。香の匂と腐敗の臭が吐気催すこの宴にあずかり、黝《かぐろ》い大気は目を備えた無定形の根源的な存在の、なかば目に見える朦朧《もうろう》とした巨体にみなぎっていた。どこかで黒い粘着質の水が縞瑪瑙《しまめのう》の突堤を洗い、一度などは、耳障りな小さな鈴の慄然《りつぜん》たる音色が鳴りひびき、狂おしいふくみ笑いを迎えたが、その笑いをあげているのは燐光《りんこう》を放つ裸形のもので、そいつは泳いであらわれ、岸に這《は》いあがると、後方にある彫刻をほどこされた黄金の台座にのぼって胡座《あぐら》をかき、あたりを睨《ね》めつけた。
 果しのない闇の通路があらゆる方向に伸びているらしく、ここにこそ街を病ませてつつみこみ、雑多な病禍の悪臭のうちに国家さえ呑みつくそうとする、忌むべき害毒の根源があるのではないかと思えるほどだった。ここには宇宙的な罪悪が入りこみ、冒涜《ぼうとく》的な密儀によって腐れただれ糜爛《びらん》すれば、嗤笑《ししょう》する死の行進がはじまって、人間すべてを腐敗させ、墓にも葬れぬほどに悍《おぞ》ましい、黴《かび》のごとき異常なものにまでおとしめんとする。魔王セイタンがここにバビロン風の悪徳の宮廷を造りあげ、汚れを知らぬ幼児の血潮でもって、燐光を放つリリスの鱗片《りんぺん》に覆われた靜脈曲張
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